Summit Creative Syan

エンターテイメント性が高く、魔法の様な独特の空間を作り出す洋装スタイル、バルーンと己、そして伝統に向き合う力強さのある和装スタイル、2つのスタイルを使い分け、毎回見る度に違う顔を持つパフォーマンスを行う。使うアイテムはバルーンだが見どころは演出や一つ一つの表現。予想を幾重にも上回る展開を多く組み入れたバルーンの魅力と可能性を大きく拡げるそのショーは「新次元のバルーンパフォーマンス」と呼ばれている。また、風貌やショースタイルから『バルーンの貴公子』や『バルーンの魔術師』とも称され年間400 以上のステージ出演を行う。2014年18thコンベンションではセミナー講師も務め、パフォーマー・ツイスターのレベルアップの為、技や見せ方、考え方等を惜しみなくクラスで伝えた。JBAN会員(関東地域)

プロフィール

日本に限らず世界でご活躍されているバルーンパフォーマーのSyanさん。
風船を巧みに操り、見る者全てを魅了する彼のバルーンパフォーマンスは、お客様からはもちろん、
他のバルーンアーティストからも一目置かれるほど、高度なテクニックと芸術性を誇ります。
現在のお仕事に就くまでのいきさつや、日本と世界の風船文化の違いまで、
様々なお話を伺うことができました。
インタビューから、ミステリアスな仮面の下に隠されたSyanさんの意外な素顔が垣間見えました。

一度、自分の力でどこまで行けるか確かめてみたかった

事務局 バルーンアートを始めたきっかけは何ですか?
Syan 高校の文化祭で、先輩がクラスの出し物としてバルーンアートを
練習しているのを見せてもらったのがきっかけです。
「イヌのバランスを変えるとキリンになるんだよ!」と見せてくれたことが、
今でもバルーンの大きなワクワクの素になっています。
事務局 そこから、プロのバルーンパフォーマーに転向された理由は何ですか?
Syan 農業関係の仕事を経て、上京してサラリーマンをする傍ら、
趣味としてバルーンには関わっていたのですが、2008年にバルーンへの溢れる熱意を止められず
「一度、自分の力でどこまで行けるか確かめてみたい」と思い退職しました。
その年のうちにストリートを中心にバルーンだけで生計を経てていく道筋を探り、
2009年頃からは積極的に大会に出て経歴を積み、イベントを中心に受注していくプロと名乗る様になりました。

「自分が好きなもの」「自分のやりたいもの」を明確にして
それを元にオリジナリティを創造する。

事務局 プロになろうと決意されてから、
プロになるまでに苦労されたこと、大変だったことはありますか?
また、その試練をどのように乗り越えましたか?
Syan プロの定義は人により色々とあると思いますが、
僕の定義は「その仕事だけで生活出来る(家族を養うことが出来る)収入と実績があり、
社会的に認められている」ことだと考えています。
そのために転職したばかりだからと収入を下げるという選択肢はなく、
イベント出演のご依頼が安定するまでは転職前と同じ月収を得るまで
真冬でもストリートに出てバルーンの技術を培うと共に、
自分が苦手だったショー的な要素を練習しつつ一定の収入を維持しました。
それと同時に前職を活かし、関東近辺のイベント代理店さん100社くらいに
郵送、メール、お問い合わせフォームから自分の売り込みをかけ、
それ以降も半年に50社ほど行い、今でも数多くの代理店さんと安定した繋がりを維持しています。
技術と表現については既存のものを参考にしたら同じラインを越えることが出来ないので、
街を歩く時に常に自分の琴線に触れるものをメモしていって、
「自分が好きなもの」「自分のやりたいもの」を明確にし、それを元に演目を作っていきました。
また、同ジャンルの作品やパフォーマンスを見ると引っ張られてしまうので、
出来る限り他ジャンルの作品やパフォーマンスを見るようにして、
バルーンにはなかった表現などを自分のフィルターを一度通してから
再構成するのもオリジナリティには必要な要素だと思います。
一定の収入を得るだけなら成功者の真似をするだけでも出来ますが、
社会的に認められる為には先進的に、創造的なものを提示して行かなければならないので、
維持と同時にそこにも力を配分しなくてはならないのが苦心どころです。



海外のアーティストは十人十色。
自分が表現したいものに純粋に向き合っている。

事務局 国内数々のバルーン大会で優勝、海外でも和装公演を行い、ベルギーで行われた
世界大会ではバルーンパフォーマーの世界チャンピオンとして認められるなど、
世界でご活躍されていますが、海外と日本のバルーン文化にはどのような違いがあると思われますか?
Syan 日本 (アジア系?) のバルーンは、良くも悪くも写実的だと感じます。
作品作りでは、元々あるモチーフをバルーンでどれだけうまく置き換えられるか、
再現出来るかという事が評価されがちのように思います。
また、パフォーマンスも、「どの作品を作るか」「何を作るとお客さんに受けるか」
という思考がベースとなっており、
「自分が何を演じたいか」という自己との対話が出来ていない人が多いと思います。
一方、欧米のバルーンアートやパフォーマンスは、自己の表現が重視されているように感じます。
「周りに評価される」とか「既存のものと比べてどうか」というよりも、
自分自身が作りたい物や表現したい物に対して、純粋に向き合っています。
個性と同じく10人居たら10人全員の表現が違いますし、10人がそれぞれ、
「自分が一番良いものを作っている!」という自信を持っていると感じます。
事務局 では、海外と日本で共通することはありますか?
Syan 誰もが「バルーンには人を魅了する魔法がかかっている」
ということを直感的に感じているところです。



バルーンの間口を広げるにはそれを目的とした活動が必須。

事務局 18年以上のバルーン歴をお持ちでいらっしゃいますが、
バルーンをはじめた頃と現在とでは、お仕事の環境やバルーンに対する
お客様の反応に変化はありましたか?
Syan バルーンの技術はどんどんと上がって、トップは進化していますが、
一般の方が触れるボトムの技術や認知度、反応は昔からあまり変わってないと思います。
私が思うに、分母はそれほど増えておらず、
一定の環境の中でしかバルーンの進化や認知はされてないのではないかなと。
分母を増やすには、トップになった人や企業がそれを目的とした活動を行うことが
一番大きな効果をもたらすと思うので、
一定の業績、収入、名声を得た後はそれらを使いバルーンの間口を広げたり、
バルーンでこんなのが出来るんだ!という認識を高める活動が増えたりすれば、
より一層一般認知が高まったり、将来の仲間が増えるかと思います。
JBANの活動もこの考えと共通していますよね。

常に本気で考え求めて妥協せずに作り出していく。
自分自身が飽きを感じないように常に貪欲であり続ける。

事務局 普段お仕事をする上で大切にしていることは何ですか?
Syan お客さまの求めているものを一緒に考え本気で求めて作り出していく。
常に全力で妥協はしない。
また、自分の演目や作品作りに対して自分自身が飽きを感じないように
常に貪欲であることですね。
でも睡眠はしっかりとって万全の体調で、
万全のショーを提供する生活習慣を作って挑んでいます!
事務局 プロとしての意識の高さが伝わってきます。
では、このお仕事の好きなところや、印象的だった出来事はありますか?
Syan 自分の一番好きなことをやることが「仕事」として成立していることです。
バルーンという、老若男女だれもが惹きつけられる不思議なアイテムを扱える事の嬉しさと、
その期待を越えてもっと見たことのない不思議な世界観や演目を考えていける
発展性の多さが魅力だと思います。
この仕事をしていて印象的だったことは、
1年以上前に作ったバルーンを大事そうに持ってきてくれた、ということがありました。
萎んでもゴムの配色から何を作ったか分かる状態だったのですが、
それを宝物と言ってくれたことがとても嬉しかったです。



事務局 Syanさんは東京都公認のヘブンアーティスト(※1)でいらっしゃいますが、
ヘブンアーティストについて教えてください!
Syan 元々、ヘブンアーティストライセンスを持っていないと
出られないフェスティバルへ出るために必要だったことから取得しました。
制度自体は設立当初の目的は薄れて「公認大道芸許可証」になってはいますが、
車の普通免許証みたいなものなので、
持っていることで一定の表現技術があるパフォーマーと証明してくれるものになります。
ただ、結局は各バルーン大会の受賞歴と同じく制度でしかないので、
それをどう使うか、どういう目的で用いるかは使い手に委ねられてるのかなぁと思います。
事務局 では、最後に現在または今後、何かPRされたい事がありましたらどうぞ!
Syan 最近、子供が生まれたことにより
自分の興味の第一位がバルーンから子育てに移ってしまいました(笑)
しばらく技術向上や演目制作はスローペースになりますが、
そのうち子育てから得たものを還元して、
より一層進化いたしますのでしばらく見守っていて下さい!

(※1)ヘブンアーティスト:東京都が指定した公園などの場所で、音楽やパフォーマンスの活動を行うため、
審査に合格してライセンスを交付されたアーティスト。
ライセンスを取得すると、都が指定した場所で、音楽やパフォーマンスを行うことができる。

Summit Creative Syan

HP:http://syansan.com/index.shtml
Twitter: https://twitter.com/BalloonSyan
得意分野:バルーンパフォーマンス
JBAN会員(関東地域)

JBAN.jpインタビュー#7 Syanさんのインタビューいかがでしたでしょうか? 次回は北陸にある
バルーンショップ DICHA BALLOON 中村兼子さんにインタビューを予定しております!お楽しみに。

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